【サッカー】<カンボジア育蹴記>厳しい環境でも好成績

カンボジア国内リーグは昨年、10チームの1部リーグに加え、2部リーグを設立しました。その2部リーグに、私が指導するU-16(16歳以下)カンボジアフットボールアカデミーも参戦し、3位という成績でシーズンを終えました。

 日本のサッカー界に例えると、J2リーグに高校1年生以下の選手で構成するチームが参加したようなものです。9チームによる1回戦総当たり。対戦相手との体格差は大きく苦戦すると思いましたが、若い選手たちは奮闘し、初戦を落とした後は勝ち点を積み上げました。

 優勝チームに勝利し、2位チームとは引き分けでした。初戦の負けが悔やまれますが、大会MVP(最優秀選手)にはわれわれのチームの14歳のFWシェン・チャンティア選手が選ばれました。

 このリーグ戦、アウェーゲームはとても難しい試合が続きました。それはピッチ上の技術や戦術ではありません。炎天下での試合、凸凹のあるピッチ、トイレもない会場、悪路での長時間移動、食事、宿泊施設などです。移動バスのパンク、停電による冷房なしでの宿泊もありました。

 さすがにストレスを感じましたが、それは日本人の私だけ。選手、スタッフたちにとっては全て日常的なことなので気にした様子はありません。選手たちが頼もしく見えました。

 日本のチームが世界大会に出ていくためにはアジア予選を通過しなければなりません。日本国内に比べ環境が整わない場所で重要な大会が開催されるケースが多いのです。物質的に恵まれ、快適な環境で育つ日本の選手たちが大事な大会で苦戦する理由が、体験を通してよく分かりました。

 指導者自身が快適さを求め過ぎては駄目。選手たちが厳しい環境でも適応できるよう、さまざまな経験を与えることが大切だと感じました。

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