【陸上】<“脳みそ筋肉”ボディビルダー>双子男児虐待!壮絶暴力は「スポーツの延長」と強弁「もっとトレーニングしなきゃダメだ」

「根性が足りない。もっとトレーニングしなきゃダメだ」。

平成27年11月、東京都府中市内の路上。陸上の練習をサボったとして当時の交際相手の双子の弟(8)を投げ飛ばし、重傷を負わせた男はこう言い放った。
兄も、その後の“トレーニング”で意識不明の重体に。男はジムトレーナーの資格があるとして、日常的に兄弟に激しい練習メニューを課し、「(男の子には)これくらい必要だ」と暴力を振るっていたという。

小学生に600メートル10本…折れた前歯は5本

「若い男に怒鳴られながら、死にそうな顔をして走る双子がいる」。
府中市内の運動施設では、たびたび悲壮な顔で陸上メニューの練習をこなす双子の兄弟がうわさになっていた。

毎日600メートルを10回、それが兄弟に課せられた最低限の練習メニューだった。記録が悪いと暴力を振るわれることもあったという。
怒号を発していた若い男こそが、傷害などの容疑で逮捕された府中市晴見町に住む元ジムトレーナー、友弘修司容疑者(35)だった。

友弘容疑者は平成27年11月16日午後8時ごろ、自宅マンション前の路上で、陸上の練習をサボったとして兄弟を呼びつけ、植え込みに投げ込み、
弟に重傷を負わせた疑いが持たれている。弟は地中にあった木のくいに顔をぶつけ、前歯上下計5本が折れたり、根本がぐらついたりしたという。

一緒にいた交際相手だった兄弟の母親が、血まみれになった弟の顔を見て「何をするの」と問い詰めると、友弘容疑者は「(男の子のしつけには)これくらい必要なんだ」と答えた。
逮捕後、警視庁捜査1課の調べに「投げ込んだが、けがをさせるつもりはなかった。スポーツの延長のつもりだった」と供述している。

「脳みそまで筋肉の疑いがある」

捜査関係者によると、友弘容疑者と母親は平成27年8月ごろから交際を始めた。同年10月末、母親が「男の子のしつけや教育はどうしたらいいんだろう」と相談したところ、
友弘容疑者は「走らせればいいよ。走ることはすべてのスポーツの基本だから」と答えた。

友弘容疑者はボディービルの大会で入賞するなど、“筋肉”には一家言あったとみられる。そのやり取りをきっかけに友弘容疑者に「オレが鍛えてやる」とスイッチが入り、トレーニングやスポーツと称する虐待が始まったようだ。
その後、兄弟の体にあざや傷があるのを小学校教諭が複数回確認していたが、兄弟は「スポーツジムでけがをした」と答えていた。

母親とのLINEのやりとりで、友弘容疑者は毎日の練習メニューについて報告を受けていた。一方で兄弟について「ジャマ」ともメッセージを送っていたという。
その行動や発言についてある捜査関係者は、辛辣(しんらつ)にこう語る。「脳みそまで筋肉の疑いがある」。

「トイレから戻ってくると倒れていた」 

そして昨年4月3日、府中市の公園で、友弘容疑者と一緒にいた兄が倒れて意識不明の重体となり、病院に運ばれた。
その時のトレーニングは友弘容疑者が自転車で伴走し、兄が走るという内容で、友弘容疑者は「トイレから戻ってくると倒れていた」と話したという。兄は現在も入院中だ。

相次ぐけがを不審に思った母親の親族が4月下旬に警視庁昭島署に相談。警視庁が児童相談所に報告し、
児相は一時、弟を保護していた。警視庁捜査1課が詳細に診断したところ、頭を強く揺さぶられるなどした疑いがあることが分かっている。

“行きすぎた”指導を繰り返していた友弘容疑者。逮捕の報を受けた友弘容疑者の両親は一様に驚きを隠さなかった。
母親は取材に対し、「息子は子供好きでトレーニングの仕事に前向きに取り組んでいた。

子供に暴力を振るうなんて信じられない」と話し、父親は「何が起きたかわからない。交際相手がいたことも知らなかった」と肩を落とした。

産経新聞2017.2.18 07:00
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