【アプリ】次期iOSで32ビット版のアプリが動作できなくなる事が確実に

http://gigazine.net/news/20170218-app-store-32-bit-ban/

2017年内にもリリースされるとみられる次期iOSiOS 11」からは、旧来の32ビット環境で作られた
アプリケーションが動作できなくなることが確実視されています。これによりiOSアプリの登場から続いてきた
32ビット版アプリの時代は終焉を迎え、数々の名作とされるアプリが姿を消す危機に瀕しています。
Appleでは2013年9月に初の64ビットアーキテクチャプロセッサを採用したiPhone 5sをリリース。
その後、2015年2月以降にApp Storeで提供されるアプリに対しては64ビット版をデフォルトでサポートすることを必須としていました。
これらの施策から、Appleは段階的に完全64ビット環境へと移行していく姿勢を示していることが確実視されていました。

そしてその姿勢がさらに明確になっています。開発者向けに提供されているiOS 10の最新ベータ版では、
32ビットアーキテクチャのアプリを起動すると、以下のように「このアプリは将来のバージョンのiOSでは動作しません。
このアプリの開発者は、アプリの互換性を改善するためにアップデートする必要があります」というメッセージが表示されるようになったとのこと。

ちなみに、iOS 10.2.1の端末で32ビット版アプリを起動すると、「"(アプリ名)"によりiPhoneの動作が遅くなる場合があります 
開発元によるAppのご完成か以前のアップデートが必要です」というメッセージが表示されます。
これはつまり、iOS 11からは32ビット版アプリへの対応が打ち切られる可能性が極めて高くなったことを示しています。
それでは、果たしてどのぐらいのアプリが32ビット版のまま放置されているのかが気になるところですが、
それを効果的に統計をとるのは非常に困難な状況です。そこでヒントになってくるのが、「64ビット版への移行が促され始めたタイミング」と
いうことになるとのこと。64ビットアーキテクチャに対応したiPhone 5sが登場したのが2013年9月で、
Appleデベロッパーに対して64ビットへの移行を具体的に強制し始めたのが2015年2月。ということは、
この間に開発されたままアップデートされていないアプリは、64ビット版への移行が行われていないであろう、と考えることができます。
アナリティクス企業のSensor Towerによるレポートでは、2016年9月現在、App Storeで公開されてアクティブ状態にある
約210万アプリのうち、およそ51%にあたる約108万アプリは1年以上・2年未満の間アップデートされていないことが判明しています。
さらに1年間以上アップデートされていないアプリを全てカウントすると全体の95%にものぼるという結果が判明しています。
なお、その後App Storeからは4万7000アプリが削除されているとのこと。
これらアップデートされていないアプリの中には、Mashableが選ぶ過去全てのiPhoneアプリから選ぶベスト100に含まれる、
iPhoneでオカリナが演奏できるOcarina(日本未提供)や、端末を振るとスターウォーズライトセイバー気分が味わえるGreat Lightsaberなどの
アプリが含まれており、このまま対策が取られないと人気を集めたアプリが軒並み消滅してしまうことに。

また、海外で人気の高い釣りアプリRidiculous Fishingや計算ゲームHundreds、以下のムービーのようにパチンコの要領で玉を落として
ドットを消して行くPeggle Classicなどのゲームも影響を受けざるを得ないとのこと。

このように多くのアプリが消滅の危機に瀕しているわけですが、事態の解消には大きな壁が立ちはだかっているとのこと。
アプリの提供を継続するためには、Appleが方針を展開しない限りは64ビット版へと改修する必要があります。
しかし、これらのアプリが1年以上もアップデートされていないという状況は、アプリベンダーが他のアプリにリソースを費やしてしまっているということに
他なりません。さらに、古いアプリともなると以前ほどの収益性を見込むことができないというのも悪影響に拍車をかける要因となります。
つまり、開発者にとっては、収益が見込める最新版の64ビット版アプリの開発にリソースを割くことのほうが、
古くてコストを回収できるかどうかもわからない32ビットアプリにリソースを割くということよりも優先されるという事態となっているというわけです。