【サッカー】今度こそ期待できる!? キャプテン酒井の下、“当たり前のもの”を取り戻したハンブルク

そんなに簡単に勝てるなら、何年も下位で苦しんではいない…。

 これ以上悪い試合はない、というぐらいに悪かった。
 
 ハンブルクは、ブンデスリーガ第18節のインゴルシュタット戦で1-3の完敗を喫し、2部リーグ降格圏となる17位に転落してしまった。
 
 試合後、スポーツマネジャーのイエンス・トットは「残留争いがどういうものかが分かったと思う。今チームには、心配しなければならないあらゆる理由がある。これは深刻な状況だ」と危機感を露にした。
 
 また、監督のマルクス・ギスドルも「前半は慰めようもないくらい悪かった。何人かの選手は12月の成功を間違って解釈してしまったようだ。勝手に全てがうまくいくとでも思ってしまったのだろうか」と厳しいコメントを残していた。
 
 新キャプテンを酒井高徳に据えるなどの抜本的なチーム改革を断行したギスドルは、シーズン序盤からチームに蔓延していた悪しき空気を払拭することに一度は成功していた。
 
「後半戦は一気に巻き返しを図り、可能ならば上位進出を!」と考える選手がいても不思議ではない。だが、そんな簡単に勝てるようになるなら、何年も連続で、下位で苦しむことはないはずだ。
 
 このまま落ち続けていってしまうのか。そう思った識者も少なくなかったかもしれない。だが、ハンブルクはここで踏ん張りを見せた。
 
 19節ではチャンピオンズ・リーグ出場チームのレーバークーゼンをホームで1-0と下し、DFBカップ3回戦ではケルンに2-0。そして20節では2位のRBライプツィヒ相手に敵地で3-0の勝利と、予想以上の好結果を残してみせた。
 
 特に、今シーズンはホームで負けなしだったライプツィヒを下したことは、ドイツ中を驚かせた。
 
 ドイツ・メディアの多くは、レーバークーゼンライプツィヒという古巣クラブ相手にゴールを決めたギリシャ代表DF、キリアコス・パパドプーロスを、勝利の立役者として取り上げた。
 
 確かに、パパドプーロスは持ち味である強靭なフィジカルを活かした1対1での守備力に加え、セットプレー時の得点源としても存在感を発揮。彼を今冬に迎えたことは、長年、チームの悩みの種だったCB問題を解決する最適な補強策だったと言えるだろう。
 
 とはいえ、彼ひとりの力で勝てるはずがない。ハンブルクを勝利に導いたのは、チームの勝利のためにそれぞれがやるべきことに全力で取り組み続けるという、スポーツの世界ではあまりに普遍的で、だがこのクラブでは常に欠如していたものだ。