【サッカー】Jリーグがタイで大会を主催「DAZN」との2100億円大型放映権契約でアジア戦略に弾みをつける

「東南アジアの優等生」といわれ順調な成長を続けるタイ。
生活水準の向上とともに近年はスポーツ界の発展も顕著で、その象徴といえるのがサッカーだ。
2010年代に入り急成長を遂げた国内リーグの盛り上がりを背景に、代表チームの実力も急上昇。
オリンピックやワールドカップのアジア予選でも最終予選に駒を進めるまでになった。
Jリーグがアジアの国々との連携をはかる「アジア戦略」でも、2012年に真っ先に提携を結んだのがタイリーグ。
サッカーにおいても、東南アジアの先頭を走るリーダー的存在となっている。

 1月24日と26日の両日、タイ・バンコクで「2017Jリーグ アジアチャレンジinタイ インターリーグカップ」が開催された。
同大会はJリーグの「アジア戦略」の一環として行われたもので、
Jリーグから鹿島アントラーズ横浜F・マリノスが参戦してタイリーグの2クラブと対戦。
Jリーグ勢対タイリーグ勢というリーグ対抗戦形式でタイトルを争った。

 Jリーグは2012年からアジアのレベルアップとマーケットの拡大を目指し、「アジア戦略」を本格的にスタート。
東南アジアを中心とするアジア各国とのリーグ間、クラブ間での提携をはじめ、育成年代を含めた選手や指導者の交流、
東南アジア出身Jリーガーの排出などさまざまな角度から戦略を推し進めてきた。

DAZNとの10年契約で万全の体制

 そして今回、Jリーグとタイリーグが主催してタイで大会を開催するという新たな試みが行われた。
大会の実現に向けて尽力してきたJリーグ国際部の大矢丈之氏は、
同大会の目的は「Jリーグの価値を高めること」にあると語る。

 「この4年間、『アジア戦略』としてさまざまなことをしてきたなかで、今年は念願のタイ人Jリーガーも誕生しました。
ただ、選手だけでは限界があります。
Jリーグの価値自体を高めるためには、商品である試合をもっと出していかなければいけません。
アジアでトップと言われるJリーグの試合を生で見てもらいたい。
特に子どもたちに見てもらい、次の世代の選手たちがより現実的にJリーグを目標とするような環境を作れればと」

 Jリーグは今季、英国のパフォーム社が提供するライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」との間で10年間、
約2100億円という大型の放映権契約を締結した。
年間でもこれまでの何倍にも上る放映権収入を得たことで、新たに大きく戦略を構築することを試みている。
「アジアチャレンジinタイ インターリーグカップ」もその枠組みの中で企画された。

Jチームに善戦するタイチームも続出

 大会の開催へ向け、Jリーグは全てのクラブに案内を送ると10クラブほどが参加の意思を表明。

 そのなかから多角的に勘案された結果、「実績があり、この機会をクラブ経営にも活用できるマインドを持っている
クラブ」(大矢氏)として鹿島と横浜の2チームの出場が決まった。
一方のタイリーグからも昨シーズン2位のバンコク・ユナイテッドと、
近年は上位争いの常連となっている新興勢力のスパンブリーFCが参戦。両リーグの上位クラブ同士による対決が実現した。

 大会は同リーグ同士の対戦は行わず、リーグ間の勝敗を争う「リーグ対抗戦」という独特の形式で行われた。
結果は3勝1敗でJリーグの勝利となったが、バンコク・ユナイテッドが鹿島を4-3と下したのをはじめタイリーグ勢も健闘。
Jリーグのトップレベル2クラブを相手に、急成長を遂げるタイリーグの勢いの一端を感じさせた。

 試合の模様は日本では今季からJリーグの放送権を得た「ダ・ゾーン」、
タイでは大会に出場したバンコク・ユナイテッドのオーナー企業でもある「トゥルー」によって全試合生中継。
試合の行われない中日には、両チームの主力選手をスタジオに呼んでのインタビュー番組も放送された。