【韓国】スタグフレーション危機の韓国、「庶民は死んじゃう」「給料も上げて」 ネットで相次ぐ悲鳴と嘆き

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170218/frn1702181530006-n1.htm

 景気後退と物価上昇が同時に発生する「スタグフレーション」の危機に、韓国経済が見舞われている。韓国統計庁が2日発表した今年1月の消費者物価指数は前年同月比2.0%増の102.43と急激に上昇した。物価上昇率が2%台となるのは2012年10月以来、4年3カ月ぶりの高い水準だ。中でも生鮮食料品の値上がりを受け、国民食ともいえるのり巻き(キムパプ)やラーメンなどファストフードの価格が約4~7%程度上昇し、消費者の財布を直撃。ネットでは「政策目標達成で、庶民は死んじゃうよ…」との嘆き節も聞こえてくる。

中略

 ■消費者心理も低迷、スタグフレーション危機も

 食品価格が高騰する一方で、韓国の消費者心理や企業の景気見通しは、過去のアジア通貨危機リーマンショック時並みに冷え込んでいる。

 韓国銀行(中央銀行)がまとめた1月の消費者心理指数(基準値100)は93.3と3カ月連続で悪化した。リーマンショック後の09年3月(75)に次いで低い水準だ。

 同様に大韓商工会議所が全国の製造業約2400社を対象に行った今年1~3月の景気先行指数は68となり、16年10~12月期から18ポイント悪化した。同指数が60台となるのは、国際通貨基金IMF)による韓国救済がなされた通貨危機直後の1998年と、リーマンショック後に続き3度目だ。

 こうした状況から、現代経済研究院は5日、韓国経済について「低成長・高物価基調に移行していく可能性がある。国内経済のスタグフレーション突入の恐れも排除できない」とする報告書をまとめた。

 原油価格が上昇傾向にあり、昨年の台風被害などにより穀物など農畜産物価格も上昇した。さらにドル高による輸入品価格の値上がりなどを踏まえ、「悪いインフレ」とされるコストプッシュ型インフレが進むとの見立てだ。悪いインフレが進む中、国内景気の低迷や政治の停滞が続けば、物価上昇と景気後退が同時に発生するスタグフレーションの懸念も否定できない。

 ■ネットで悲鳴「給料も上げて」「20年前も政府は否定」

 韓国銀行は中期の物価上昇率目標として2.0%を掲げている。このため、韓国のポータルサイト大手ネイバーの掲示板には、「祝!政策目標達成…おかげで、庶民は死んじゃうよ」と皮肉な書き込みがなされたほか、「給料もちょっと(物価に)合わせてあげてくれ」と切実な声もある。

 同様に「既にスタグフレーションになっている」「チェ・ギョンファン経済副首相がデフレうんぬんというが、長期低迷、失業率、物価上昇率だけ見てもぴったり答えは出ている」と、厳しい批判の声も少なくない。

 このほか、97年の通貨危機に伴うIMFの韓国救済を踏まえ「IMF救済の直前にも、政府は『通貨危機はない』と説明していた」「IMFの時、外国の機関は事前に警告した。政府と韓国銀行だけはないと主張した」と20年前の国家破綻危機時と、現在の状況を重ねる発言も目立つ。

 トランプ米大統領の就任以降、世界経済の先行きに対する不透明感は高まる一方だ。こうした状況下で、次期大統領をめぐる政争や、慰安婦像にからむ反日活動に政治家の多くが注力する現状こそが、韓国の庶民にとって一番の不幸なのかもしれない。(経済本部 内田博文)