【サッカー】鹿島アントラーズ OB秋田豊が「序盤戦は苦戦するかもしれない」と心配する理由とは?

 九州でキャンプを張るチームをいくつか見たなかで、昨季は二冠を達成した古巣の鹿島も取材した。

 昨季は天皇杯でも優勝しただけに、休みがあまり取れず、コンディションがまちまちではあった。ただ、ニューイヤーカップの戦いぶりを見る限り、今オフの精力的な補強もあって、充実の戦力が整ったというのが率直な感想だ。ACLとの連戦も問題ないと思う。

 何よりも、レオ・シルバの加入は本当に大きい。攻守両面で効いていたし、闘う姿勢を随所に示して、ボランチの位置から的確に捌き、一列前に上がってはフィニッシュにつながるパスを配給する。

 鹿島の組織的な守備にもすぐ適応できていたように、賢いし、サッカーを本当によく知っている。誰が見ても、良い選手であるのは間違いない。新潟にいた時は、様々な面で負担がかかっていたと思う。それが鹿島ではいくらか軽減されて、持てる能力をフルに発揮できているのではないだろうか。

 さらに、同じく新加入のペドロ・ジュニオールが上手く相手のマークを外して、ドリブルで仕掛けていく。今シーズンは彼らふたりが新たな色付けをして、チームが躍動する姿を容易にイメージできた。

 その他では、三竿雄斗も可能性を感じさせるパフォーマンスを披露していた。手薄だった左SBのポジションで、バランス良くプレーしながら、攻撃面も及第点の出来だった。左利きの左SBは久しぶりで、即戦力として活躍してくれそうだ。

 既存の選手も期待ができる。特に、鈴木優磨。あのギラギラ感を出せる選手は、今の時代はなかなかいない。背番号も9に変わって決意を新たにしているだろうし、近い将来、鹿島のエースになり得る素材だと信じている。

 懸念材料を挙げるとすれば、CBか。他と比べて、決して層が厚いわけではないし、軸である昌子源が怪我をした時に、どこまで耐えられるか。もしかしたら、厳しい戦いを強いられるかもしれない。

 もっとも、今季の編成からは、若い町田浩樹を育てようという意図が見える。190センチのサイズと技術に恵まれている一方で、不足しているのはスピードと試合経験。とにかく、できるだけ実戦を重ねていくことで、ブレイクのきっかけを掴んでほしい。

もうひとつ、気がかりなのが、冒頭でも少し触れたように、疲労を抱えたまま、シーズンインすることだ。

 似たような状況は僕にも経験があって、あれは2000年のことだけど、早い段階でアジアクラブ選手権を戦って、そのままリーグ戦の開幕を迎えた。第1ステージは苦しんで、思うようにリズムに乗れず、11位という結果に終わった。

 ただ、周知のとおり、その年は国内三冠を成し遂げたシーズンでもある。最後の3か月に調子を上げていって、3つのタイトルを獲得してみせた。

 もしかしたら、今季のチームも序盤は苦戦するかもしれない。そこで頼りになるのが、レオやペドロといった新戦力だ。彼らは昨季、早い段階で休みに入れているから、最初はフル回転の働きでチームを引っ張っていってほしい。その間、小笠原満男金崎夢生、昌子らが上手く休養を取りながら、戦っていくのが理想的だろう。

 石井監督とも話をして、ターンオーバーで行くのか、半分ずつ入れ替えていくのか、そこの判断は難しいと言っていた。チーム状態を見ながら決めていくことになると思うけど、過去約1年半の在任期間で、リーグ、ルヴァンカップ天皇杯で栄冠を勝ち取った指揮官がどんな采配を見せるか、今から楽しみだし、期待したいと思っている。

http://www.soccerdigestweb.com/news/detail2/id=22606